フライトのキャンセルや遅延に対応する

 

以下の記事は2025年7月13日現在の情報に基づいて書かれています。

私は、飛行機に乗る前、近距離でも遠距離でもなんとなく心が落ち着かないのですが、実際のところ乗り継ぎ便に間に合わないとか、いろいろなハプニングが結構あります。

ハプニングが起きた場合、日本ではそれ相応のサポートが地上スタッフから受けられるかもしれませんが、海外ではこちらが主張しないとサポートさえ受けられないことも多々ありますので、何かあったらカタコトの英語でもいいのでスタッフに状況を伝えてサポートを要求しなければなりません。

目次

  1. 『旅客の権利』を知る
  2. (フライトの遅延やキャンセルに対して)補償金を請求する
  3. 代替フライトの交渉

1. 『旅客の権利』を知る

ヨーロッパに関して言えば、航空機の遅延/キャンセルに関して『旅客の権利』を守るための法律があります。補償金が出るケースもあります。その場合、ヨーロッパに住んでいなくてもフライトが欧州発/欧州着の場合、その請求ができます。

『旅客の権利』を守る法律はCE n. 261/2004であり、このWikipediaのページに詳しい説明があります。原本はこのEUのサイトにあります。

簡単に要約すると

EU航空旅客の権利に関する規則(EC規則261/2004)

(飛行機の搭乗拒否欠航大幅な遅延が発生した場合に、乗客の権利を保護するためのEU法)

  • 目的: 搭乗拒否、欠航、大幅な遅延(主に3時間以上)の際に、乗客への補償と援助

  • 補償額: 飛行距離に応じて250ユーロから600ユーロの補償がある。(下記参照

  • 航空会社の義務: 状況に応じた飲食物宿泊施設の提供、および権利に関する書面での情報提供が義務付けられている。

  • 適用範囲:

    • EU/EEA加盟国の空港から出発するフライト。
    • EU/EEA加盟国に拠点を置く航空会社がEU/EEA加盟国へ向かうフライト。
    • その加盟国以外のスイス、アイスランド、ノルウェーとのフライトにも適用。

ただし、

  • 補償免除の対象: 自然災害(火山灰など)、第三者(航空管制官など)によるストライキなど。

  • 補償免除の対象外: 航空会社の技術的問題(通常の故障)、航空会社の従業員によるストライキ、パイロットの死亡など。

  • 英国: ブレグジット後も、英国では「UK261」という同様の国内法により、同様の権利が保障されている。

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遅延やキャンセルがあった場合、航空会社の地上スタッフにサポートを請求します。代替便が翌日ならホテルの手配は航空会社が行ってくれます。ホテルまでのシャトルバスを手配してくれたり、タクシー券をくれたりします。もちろん、翌日のホテルから空港までの交通手段も手配してくれます。

空港で何時間も待たなければならない状況になった場合は、食事などの手配があります。ホテルへ行く人も食事が手配されます。

ここまでが空港で受けられるサポートです。

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2. (フライトの遅延やキャンセルに対して)補償金を請求する

次に、補償金請求手続きをします。よほどの事情がない限り遅延がある一定上の時間を越えると、補償金を請求できます。その場合、旅行が終わってからでいいので、まずは各航空会社のホームページのクレームやサポートのページを探してください。

私は今回、ITA Airwaysを利用したので、ITA Airwaysのページを添付します。

Ita Airwaysの場合はこのページ(日本語)またはこのページ(イタリア語)で手続きをします。

手続きは以下の通り

『遅延』『キャンセル』など該当するものを選び、『自分』、または『自分と同行者』など該当するものを選び、予約コード、チケットナンバー、フライトナンバーなどを記入します。

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『報告』にできるだけ詳しく状況を説明します。

例文

〇〇便が○時間遅れたため〇〇便に乗り継ぎできず、翌日の便になり、当初予定到着時刻〇〇時より○時間○分遅れて、○時○分に到着しました。よって、欧州規則261/2004に定められている通り、〇〇ユーロの補償金の請求をします。

英語だと

Due to a delay of __ hours on flight , I was unable to make the connecting flight __ and was rebooked on a flight the following day. As a result, I arrived at my final destination at ___, which was __ hours and __ minutes later than the originally scheduled arrival time of ___.

Therefore, in accordance with EU Regulation 261/2004, I am claiming compensation in the amount of €__.

のような感じです。

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私は、ITA Airwaysのイタリア語のページで上記のような記入をして送信したところ、翌日には私のリクエストが受理されたと、補償金申し込み用紙が添付されたEmailが送られてきましたので、それに記入(連絡が取れる電話番号や、受け取りを希望する銀行口座など)してメールに添付して返信しました。

ちなみに、私の場合は羽田ーローマ間の飛行機は2時間遅れでしたが、その後の国内便の乗り継ぎに間に合わず、ローマで一泊して翌日の便に乗ったため(そしてそれにも遅延があったため)、最終目的地には到着したのは予定の17時間後でした。EU法で定められている4時間以上の遅延に当てはまるため最大金額の600ユーロを請求したところそれが受け入れられました。代替案としてITA Airwaysで使えるクーポン券720ユーロ分という提案もありましたが、現金を選択しました。

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3. 代替フライトの交渉

『フライトが遅延して乗り継ぎ便に乗れなかった』『フライトがキャンセルされた』などの場合、航空会社は代替便を用意しなければいけないことになっています。納得のいく代替便が見つからなかった場合、払い戻しを請求することができますが、大抵の場合、キャンセルするよりなんとか目的地に到達するための代替便の提案を受け入れるのではないでしょうか。その代替便の提案は、フライトの遅延やキャンセルがわかった時点で、Eメールやアプリに通知がいくようになっていますので、フライトの予約の際に登録したEメールの受信はまめにチェックしてください。

その代替便に関してですが、あちらから提示されたものを絶対受け入れなければいけない、というわけではありません。受け入れずに他の便に変更できた経験談です。

ケース1

ルフトハンザ航空で出発便がキャンセルになり、翌日のフライトに振り替えられました。しかしながら、翌日便ということは1日損してしまうので、私はアプリのAIチャットで提案されるその翌日のフライトを『了承できません。他のフライトを探してください』と3回ほど続けて拒否しました。するとAIチャットから人間チャットに入れ替わり、6時間遅れの当日のフライトに振り替えてもらうことができました。

ケース2

ITA Airwaysで朝の便がキャンセルになり夕方の便に振り替えられました。ということは、空港で9時間も待たなければいけません。調べると昼にもフライトがあるので、チケットカウンターで交渉しました。最初は昼の便は満席だと言われましたが、しぶとくしつこく粘ったせいか最後には昼の便に振り替えてくれました。

上のケースはたまたまうまくいった例かもしれませんが、まずは自分の都合と照らし合わせて交渉してみるのもありですね。

以上、もし旅行中に、ハプニングがあったとしたら解決するのにちょっと頑張ってみたらどう、という例でした。どちらにしてもハプニングも旅の醍醐味と楽しめるといいですね。

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飛行距離に応じた補償金の詳細

飛行距離1500kmまで 3時間以上の遅れで250ユーロ

飛行距離1500km〜3500kmまで 3時間以上の遅れで400ユーロ(但しEU圏内なら300ユーロ)

飛行距離3500km以上 4時間以上の遅れで600ユーロ

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