高校卒業資格試験 その2

 


今回は、筆記試験の後の口答試験の話です。

口答試験の前に、それまでの第一次、第二次試験の結果が高校の前に貼り出されます。その点数が出た時点で口頭試験の日時と順番が発表されます。

口答試験をうける順番は、クラスごとにくじでアルファベットが引かれ、そのアルファベットの苗字の人から出席番号順に行われます。たとえば、Mがひかれた場合、Mで始まる苗字の人から始まり、Zまで行き、それからAの人から順にLの人が最後ということになります。

口頭試験内容は2019年に多少形式が変わったのですが、その数年前に試験を見せてもらえる機会があったので傍聴いたしました。(だから、現在の形式は多少違うかもしれません)

そうなんです。面接(口答試験)は受験者が拒否しなければ、試験のやり取りを傍聴できるのです。気が散るから誰にも入ってほしくない、という生徒もいれば、心の支えになるので入って来てほしい、という生徒もいます。恐らく基本的には席数が許す限り公開前提ですが、受験者の心境の考慮が前提ですし、もちろん他人の試験に勝手に出入りするのは失礼ですので、私は、知り合いの受験者の許可を得て拝見しました。(繰り返しますが数年前の話です。2回傍聴する機会をいただきました)

面接の試験委員会なるものは、受験者高校の先生と同じ県内の違う高校の先生3人で構成されています。その規定も細かいのですが、その高校の先生だけでは公正さにかけるので他の広告の先生も混ぜるというのが現行の規定です(過去には違う規定だった時期もありました)。

生徒ひとりあたり1時間ほどかかりますので1日あたり5人ほどが試験を受けます。当日試験を受ける以外の生徒も登校して見学することもできます。待ってる時間は受験者にとって大変プレッシャーになると思うのですが、私が観察したところ、自分の試験が終わった生徒が、待機中の受験者に群がってさりげなく心のサポートをしているようでした。もちろん、ナーバスで一人になりたい人もいれば、最後の最後までノートを開き復習に余念がない人などいろいろいました。自分の試験が終わった人は、どんな質問をされたか、それについて試験官がどんなコメントをしたか、などの情報を友達に惜しみなく与えていました。もう、ここまで来たら、みんなできるだけ良い点で卒業しようよ!といった感じでしょうか。ほほえましいですね。

私が見学したのは11時から(朝8時からの4人目)だったのですが、11時に試験官の休憩時間があるようで、窓から見える試験の教室では、試験官がコーヒーを飲んでピッツァをつまんでいるのが見えました。

そしていよいよ試験会場(というか教室ですが)へ。教室に入ると、7人の試験官が前のほうに並んでいました。うち一人が試験委員会の委員長で、受験者にまずサインをさせました。

そして、まずはTESINAといって受験者が各自に好きなテーマを選んで用意した論文を発表しました。論文はもうあらかじめ提出されているので、受験者はその内容を自分の言葉で発表することになります。つまり、その論文の内容をきちんと自身で把握しているかどうかが、口頭発表によってわかるわけです。

そして、そのあと、6人の試験官が各自の担当の教科の質問をし、受験者はそれぞれの質問にこたえました。

私が見学したliceo scientifico(理系高校)では、当時(毎年多少の変更があります)、イタリア語(国語、文学)、英語(歴史、英文学)、哲学、歴史(世界史)、数学、物理、理科、ラテン語、技術、美術史の教師から、質問が次々と出されました。たとえば、生徒が緊張して聞かれた問題の意味を取り違えて答えたりしても、「いえいえ、そうじゃなくて、こういうことを聞いているんですよ」と訂正してくれるなど、雰囲気としては和やかな感じでした。(もちろん受験者は和やかな気分というわけではありません)。

というわけで、1時間しっかり質問されて、試験が終わります。まだ、クラスメートたちの試験は終わっていないので、打ち上げはできませんが、終わった順にやっと夏休み気分です。

最終的な試験結果は、受験者全員の口答試験が終わってから発表されます(学校の廊下に貼り出されていました)。

現行(2024年現在)の試験での配点は以下のようになっています。

最終試験の成績は100点満点で以下のように分かれています:

高校全般の学業成績の評価:40点満点

第1筆記試験:20点満点

第2筆記試験:20点満点

口頭試験:20点満点

それ以外に5点のボーナス点があり、さらに特に優秀な生徒にはLODE(ローデ)という「賛辞」がつきます。100点満点の生徒は地元新聞に名前が出たりします。

60点以上であれば合格(高校卒業資格が取れる)で、一部の公務員試験など受けることができますし、大学に行くこともできます。点数については満点を取った生徒に関しては、大学の最初の1年間の授業料免除などの特典があります(2年目以降は前年の大学での成績で評価される)。

高校5年生(イタリアの高校は5年制です)すべてが、高校卒業資格試験を受けられるわけではなく明らかに成績が悪い生徒はその前に落第判定されます(高校5年生をもう一度やり直すということです)。そして、試験を受けた生徒の中からも何人かの不合格者が出てその生徒たちもまた5年生をやり直します。

また、全国一斉テストで第一次は同じ問題とはいっても、小論文だけに採点する先生によっても得点の差は多少出てきます。そして、第二次試験は高校によって問題が違う(専門が違う)のですが、それでも最終的に評価されるのはそこから出る得点=数字ということになります。また、地域によっても得点の差が出てくることが問題視されており(イタリア南部の方が得点づけが甘くなるという話もある)、最終的に高校資格卒業資格の得点だけが残るのはすこし解せないな、とも思います。例えば、商業高校で100点を取った生徒と理系高校で100点を取った生徒の学力のレベルは同じではないのですが、恩恵を受ける(例えば大学の授業料免除)のは得点に基づいているからです。そういうことも考慮されたためのか、公務員試験では卒業資格の有無だけを問われるようになり、点数は問われなくなったそうです。




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