(在伊生活)イタリア フリーランス事情






 イタリアでフリーランス(Libero professionista)として仕事をする場合の税金関連の覚書です。当然のことながら法律など常に変更されますので、専門の会計士(dott. commercialista か ragioniere commercialista)に詳しい情報を聞くことをおすすめします。ここでは、おおまかな仕組みや手続きなどを参考にしてください。あくまで素人認識の記事です。それから、シミュレーションは簡単にするためIVA計算など省いています。

Partita IVA

まず、フリーランスとして働くためにはPartita IVAといういわゆる税務上識別される番号を取得します。税務上の処理はAgenzia delle Entrate(≒税務局)でされるのですが、ここで取得します。(サイト
登録する時に業種を指定します。複数の業務内容(ATECO=業種割り当て番号)を指定できますが、あとで業務内容が変わった場合は、追加登録しないといけないので考えられる業務は追加しておくことをお勧めします。

Regime Forfettarioという定率税制優遇

フリーランスのための税制優遇措置があるので、大抵の人はそれを利用することになります。Regime Forfettario (Wikipedia参照)と呼ばれます。詳しいことはAgenzia delle Entrateのサイトに書いてあります。
適用概要は以下の通り(2023.12現在)
  • 年収85,000ユーロ未満に限る
  • 税率は一律15%、ただし新規事業主に関しては最初の5年は一律5%
  • 課税収入額=収入x収益率係数(想定される経費の割合を職種別(ATECO)に一律に定めたもの = Coefficiente di redditività (Wikipedia参照, Agenzia delle Entrate参照)
他にも細かい規定がありますがおおよそは上の通りです。IVAは適用されませんし、経費計上もありません。

年収 30.000ユーロ
職種 通訳

この場合通訳はATECO(上参照)74.30.00で収益率係数は78%(経費は収入の22%とみなされる)なので、
30,000 x 78% = 23,400ユーロに関して課税されます。
新規事業者で税率5%とすると
23,400 x 5% = 1,170 ユーロが税金となります。
え?少ない?何、イタリアすごい?ってなりますが、支払うのはこれだけではありません。
INPSという全国社会保障保険公社(≒年金保険)に一律26.23%を支払わなければなりません。
先ほどの課税収入額を基準としますので、
23,400 x 26.23% = 6,138ユーロを支払います。

ということで、30,000ユーロの年収で税金と社会保障額を引くと、手取りは22.692ユーロ収入額の約75%です。

新規事業主に関しては5%ですが5年を過ぎると税率が15%になりますので、その場合のシミュレーションもしてみます。
23,400 x 15% = 3,510 ユーロ(IRPEF)
23,400 x 26.23% = 6,138ユーロ(INPS)
この場合は、手取りが20,352ユーロで収入額の約68%となります。

もちろん、会計士を雇えばその支払いもありますし、Fattura Elettronica(電子領収証)、Firma Digitale(電子署名)、PEC(認証付きEメール)などへの登録料ももちろん必要となります。
繰り返しますが、経費は自動的に「収益率係数」で一律計算されますので、計上できませんし、その他控除(医療費なども)も利用できませんが、個人で入る「保険(Assicurazione previdenziale)料」のみ控除額として申請できます。

Regime Forfettario を利用しない場合

じゃあ、優遇措置を利用せず、普通に申告して税金払ったほうがいいかな、と思われる方もいらっしゃると思うので、所得税率を下記します。(2024年より適用)

  年収課税額     税率
0 〜 €28,000        23%
 〜 €50,000        35%
 それ以上           43%

この場合、課税額は【収入】から【経費】と【各種控除】をひいたものとなります。INPS(社会保険料)は同じく26,23%、それに加えてIVA(付加価値税≒消費税)を支払うことになります。
このIVA22%というのが曲者で、たとえば1,000ユーロの通訳料をもらうとき、1,000+22%の1,220ユーロを客先に請求するか、税込1,000ユーロ(€819.67+IVA180.32)と調整するかでだいぶん変わって来ます。客先が事業主(個人でない場合)なら、IVAは計上できますが、客先が個人の場合は計上できないので、IVA込みでない場合顧客側にとって随分高い値段(2割り増し)になってしまうということです。そうなると税込の値段にすることも多々ありますが、すなわち単価が2割下がるということを意味します。Regime Forfettarioの税優遇措置の場合はIVAがありませんので、その心配はなくなります。

優遇措置を利用しないと一番低い税率でも23%、プラスINPS26.23%を支払うことになります。国が定める税控除を利用したい場合、年収が85,000ユーロを超える場合、いろいろ経費で計上したい場合は、この普通課税で申告することになります。

以上、2023年12月現在の覚書です。




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