日本語教育に使える絵本 その1

 


絵本は、必ずしも日本語学習者に適する教材とは言えません。

  • 幼児によく使う言い回しが出てくる(「おいで」「あんよ」「くっく」など。)
  • 口語に近い「普通形」が主で「ます形」しか習っていない学習者には難しい
  • すぐに「て形」や「た形」や「意向形」が出てくる
  • オノマトペ表現が多い
などが、適さないと思われる要因かと思います。

ですが、

  • 普通形に慣れる(私は、普通形とます形は同時に導入しています)
  • 「て形」「た形」「意向系」など形に注目する
  • オノマトペ表現をイメージする

というふうに考えると、使えるものもあります。

未習語彙を、イメージから想像して理解し、知識に繋げる、というのは第一言語習得の流れだと思いますが、第二言語習得にも応用できると思います。

以下に挙げるのは、私が自分の子ども用(継承語教育の一部)に使っていた絵本で、成人中心(中学生、高校生も混ざることあり)の日本語クラスで使ってみて、使い勝手が良かったものです。レベルとしては入門中心のものです。

X(旧Twitter)で少し触れた福音館書店の「こどものとも」シリーズの中からの中でも、「こどものとも 0、1、2」シリーズは乳児が扱っても破れない厚手の絵本です。(現在入手不可能なものもあります。ぜひ再販してもらいたいものです。)


福音館書店のさむい さむい そやきよし/V.フレーブニコワ(福音館書店

さむい/あったかい が何回も出てきて覚えられます。

もー いいかい ゆうきともこ (福音館書店


「みつけた」というくりかえしの言葉と動物の名前が覚えられるのと、本文にはありませんが「どこにいる?」と問いかけて「ここ」とか「ボールの横」みたいな位置表現も使えます。

ここよここよ かんざわとしこ/やぶうちまさゆき (Amazon)(楽天


「どこにいる?」という問いの繰り返しと「___の上」のような位置表現が覚えられます。絵もリアルでどこにいるのか探すのも面白いです。

たまごがわれた かなおけいこ (福音館書店


たまご、おかあさん、あかちゃん、あるく、という言葉の繰り返し、ひとつ、ふたつ、みっつという数え方、___のむこう、という位置表現などが覚えられます。
また、「た形」や「て形」が出てきますので、学習者側が自然に気づくきっかけになるかと思います。

今回は福音館書店のものを紹介しました。


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