いろどりフォームを公開した理由


 Twitterで#irodorijpのハッシュタグの検索をすると「いろどり」教材を使ったいろいろなアイデアに出会えます。


基本的に私の授業ではオリジナル教材を使用しています。というのは、イタリアで趣味で日本語学習、という目的にあったテキストが見当たらないためです。「いろどり」が公開されたことを知って、初めは「宿題用(復習/応用)」として「いろどり」教材を使っていたのですが(その後授業教材にも使うようになりました)、自分で音声を再生して答えを記入するというのは結構面倒な作業です。宿題のハードルを下げるためにいかに簡単にできる方法はないか、と思い、グーグルフォームにYouTubeビデオで画像と音声を埋め込み、それを見ながら回答するという方法を試してみました。PDFに音声が入っているのもいいのですが、YouTube動画だと、「何度も好きな場面から聞き直す」「再生速度を変更する」ということができるからです。特に入門編では、この機能が重要だと考えています。

もともとオンライン授業を始める前は、ICT教材に興味もなかったのですがコロナ禍で急遽オンラインになって、いろいろなオンラインのセミナー、勉強会に参加していろいろ知ることができました。


その中のひとつが「JFND行動中心アプローチ」での会だったのですが、2021年春のコースに参加しました。参加されたことがない方に簡単に説明すると、毎回短い動画で簡単なコンセプトの説明、それに関した宿題が出され、その宿題(教案に近い)を見て意見を言うのも参加者、つまり学習者同士でコメントし合う、という形で最後に発表しあうと言う感じでした。反転授業、ピアラーニングなどを私自身が体験すると言う意味でもとても有意義な体験でした。おまけにグループワークで一緒になった方から学ぶことが多く、本当にテイクテイクテイクで終わった感じでした。このテイクテイクテイクの経験から、いつかギブができないだろうか、と言う考えがいつも頭の隅にありました。

そして、TLでは授業の準備が大変というツイートを目にすることが多く(今でも多いですが😅)、同じ教材を使っている先生が同じような教案、宿題を世界のあちこちで作成しているなら、それを共有したら空いた時間で別のことができるじゃん!と思い、いろどり教材の共有を検討し始めました。いろどり本部にもメールで問い合わせましたところ、リソースを明記すればいい、と言うことでしたので、その当時すでに作成して使っていたグーグルフォームをちょっとだけ手直しして共有を始めたわけです。

どのぐらいの方に利用していただいてるかは、ダウンロードカウンターとかつけていないのでわかりませんが時々メッセージをいただいたり、ツイートしていただくので少しは「ギブ」ができたんだと自負しています。

もちろん、「いろどり」に関してはオープンソースであることが大前提で、この教材を公開していただいたことに対して、感謝の念が尽きません。

私が公開しているグーグルフォームは、当然のことながら簡単に、修正、加筆できるので、それぞれ使いやすいように、ローマ字表記を加えたり、各国語の注意書きを足したりして使用してくださってるんじゃないかと思います。実際、私が使う場合も、イタリア語で必要な補足をつけたりします。

自動採点というのが先生方の負担を少なくする鍵であると思うので、できるだけ自動採点ができるような回答方法にしてありますが、もちろん、回答方法を筆記式に変更して各自採点方式にも変更できます。

「いろどり」に関したことではなく一般的に「無料で教材を公開する」に抵抗がある方もあると思いますし、それはそれで構わないと思います。私の場合は、セミナー、勉強会、ブログで「仲間」から好意で(「無料で」)教えていただいたことが多くてその連鎖を続けたい、という気持ちから公開しているので、この輪が広がるといいな、と思っています。


単純に言えば時短のためにどんどん色々利用しよう!そのアイデアを公開したら他の人も時短になってまた新しいアイデアが生まれてくるんじゃない?ということです。

同じ作業を世界中で各自やるより、手分けしてやる方が絶対ウィンって気がしませんか?

追記

ギブとかテイクとか書きましたが、教材の共有という物質的なことだけでなく、授業のヒント、困ったことの相談、頭の中の整理、疑問のぶつけ合い、などなど、人と話したりツイートしたりすることで解決したり、新しい道が見えたりすることが多々あります。こういうことも(こういうことこそ)ギブ&テイクだと思います。そして、自分が当たり前だと思っていることが当たり前でなく、他の人の参考になったり、反対に他の人を参考にして改善するきっかけになることもよくあると思うのです。そういう意見の交換ができる手段があることで、独りよがりな世界から少しでも抜け出すことができるのは、とても幸運なことだと実感しています。



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